バースデー・ガール
移動のために乗ったTGVの中でユークが日本から持ってきた「めくらやなぎと眠る女」を読む。
私はこの本の中のバースデー・ガールという話が好きで、繰り返し読む。
二十歳の誕生日にひとつだけ願い事をかなえてあげよう、と言われる話だ。
願い事を叶えてもらえる話というのは世の中にたくさんある。魔女や妖精はよく願い事を叶えてくれるし、しっぺ返しがあったりもする。しっぺ返しのことはともかく、もしも誰かにたったひとつだけ願い事が叶うと言われたら「安らかに、満足した状態で死にたい」と言うことに、私は決めている。今のところ。
もっと逼迫した状況にあれば違うことを言うかもしれないけれど、とりあえずはこれがちょうど良い願い事のような気がする。
二十歳の頃には思いつきもしなかったと思うけれど。
それから願い事は人に話してしまうと叶わない、とも言われているからそうするとこんな風に書いてしまったのは失敗かもしれない。
ニースは飛行機雲がとても綺麗に見える街だった。
精巧なレースのような飛行機雲が幾筋も浮かび、時にそれらが交差していく。
空の青に、良く映える。