まじろ帖

日々のこと。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

リビングの壁の青はこの一年ですっかり馴染んだように思う。切り取った新聞や地図やメモをぺたぺたと貼ってあるので、家の壁はいつも騒がしい。 でも、賑やかなのは悪くないと思う。

パーティー

誕生日パーティーの後みたいな色とりどりの静けさが路地裏に落ちていた。「見て。可愛いね」 とふりかえり、それから午後の空が暗い雲でいっぱいになっていることに気がつく。パーティーはちょっと疲れるから。 周りがどんなふうに褪せていったのか、ちゃん…

夜の公園

夜、近所の公園で花火をする。 大きなスーパーの入口の端でごっそりまとめて売られていた安くてカラフルで目を背けたくなるような、花火。小雨がぱらついてのぼる煙のスピードは遅く、やけに白くはっきりとしていた。 煙はいつまでもその場に残って見えた。…

眼が、

松本に行くときに、迷ったけれど久しぶりにフィルムのカメラを持って行った。今、なんとなく撮りたいと思っているものがあって、でもうまく一枚の中におさめられる自信も、そもそも撮る機会も約束もないので、他のものにシャッターを切るのは諦めきれないリ…

100円 食べられません

おもちゃカボチャというのを安曇野の牧場で買ってきた。「100円 食べられません」 と書いてあって、普段なら食べられないものにあまり興味がないのだけれど、なんとなく。 「秋に向けて色が変わります」 というところにわくわくして。毎日、じっと見ている。

澄ました笑顔

上野の美術館にポール・スミス展を観に行く。 「暑いし、上野まで一人で行くの大変だし無理かなぁ」 と思っていたら、同僚が誘ってくれて仕事のあとに二人で行ってきた。ポール・スミスの頭の中の鮮やかな色、アイディア、好奇心。遊び心がいっぱいでいつも…

「羊の牧場だって。寄ってみようか」 とユークが道端の看板を見つけてくれた。 牛とか羊とか馬とかが、私は好きだ。 犬も猫もモルモットも狼もフクロウも。 まぁつまり生き物は大抵なんでも。そういうわけで羊の牧場にはもちろん寄りたくなった。でも出てき…

骨だけ

まるも旅館の朝ごはんが好きだ。 魚って上手に食べられない、といつも思っているのがまるで嘘みたいに私の右手はお箸を使いこなして上と下の身をわけ、骨だけをするすると取り外せる。「見て!」 と自慢してしまうくらいぺろりと食べる。ごはんだっておかわ…

牛乳

安曇野の牧場で牛乳を飲む。 ユークはこういうときソフトクリームを食べるけれど、私は牛乳がいい。こっくりしていておいしかった。 二日この牧場に通って二日ともこの牛乳を飲んだ。炎天下で牛乳なんて変だけど、おいしいからすいすい飲んでしまう。

仙人

森の中にカフェがある。 静かでメニューには何種類ものコーヒーがあり、本棚には古い本がびっしりと並んでいる。こういうのは、どんな生活なんだろう。 お湯をわかし、豆を挽き、ケーキを切り分けて、次にドアを開ける人のことをちらりと見て言葉少なに出迎…

まるも

朝食のあと、隣の喫茶まるもでコーヒーを飲 む。行きたいパン屋さんとジャム屋さんと雑貨屋さんが開くのを待って、それから八百屋さんにワッサーを買いに行くのだ。

小さなバー

道の外れには立ち飲みバーがあり、夕食のお店でどうにも飲み足りなかった私は喜び勇んでその小さなバーのドアを押したのだった。

去年の8月の

ちょうど一年前も同じように松本で過ごす休暇だった。 「去年、ここを通ったときは天気が悪かったんだよ。雨じゃないけど、曇ってた」 とユークが言う。 今日は、晴天。 よくそんなことを覚えている、と思ったけれど、私は一昨年の夏に松本の気に入っている…