まじろ帖

日々のこと。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

東京百景

本屋さんでぱらぱらとページをめくり、 「僕が本当に恐れていたのは皆と同じように『リンダリンダ』が踊れないことだった」 という文章が目に止まった次の瞬間にはもうその本を掴んでレジへ向かっていた。好きな本というのは、お腹の底からぞわぞわとくる。…

東京の夜は

スタバのピーチインピーチを飲む。店員さんが書いてくれた絵を見るなり「桃おしり!」と叫んで笑った。笑うっていいことだ。 楽しいっていうのは、大事なことだ。それでもその楽しい場所に、君がいてくれたらどんなにいいだろうと思ってしまう。 K教授の奥さ…

つやつやの赤

ミニトマトを収穫する。つやつやの赤だ。 野菜って健康的な色をしているんだなぁ。この頃、必ず4時過ぎに一度目が覚める。新聞屋さんが近づいてきてポストに新聞をねじこみ(としか思えない音がする)またバイクで去っていくまでをじっと聴き、そしてそれか…

灯りが消えるように

職場の知り合いの子どもから、オカメインコの指輪をもらった。なかなか可愛らしい。あまりに暑いので、ついに日傘を買った。 こんなに楽になるならもっと早く使えば良かったと思って呆気に取られる。プランターのプチトマトが赤々としてきた。 明日辺りもい…

闇が深い

羊羹の器にあまりにもちんまりと可愛らしく収まるので感心する。タイムは鼻を近づけるととてもいい匂いがする。大学時代のK教授からメールが来た。 奥さんの体調が芳しくなくしばらく日本を離れるというのが最後のメールで、オーストラリアへ戻るのかそれと…

寄り添う

私は、今年の1月からこのブログをなんとなく始め、なんのテーマも言いたいことも特になく、ただただ日々のことを書き散らしてきました。誰に宛ててもおらず、独りよがりではないかといつも思います。自分の文章を読み返すことはほとんどありませんが、色々…

バッティングセンターに

ユークがチキンカレーを作った。「元気だしてね」 とユークは言ってくれて、泣いていると励ましてもくれて、カレーはもちろん美味しかったけれど、元気はまだちょっと出なかった。家に来てくれる人に「もうあんまり泣かない方がパディちゃんのためにもいいん…

アラスカの音

花は、わかりやすく枯れていくので心がつられてしまう。だから私はベンジャミンやギンバイカを育てているんだと思う。木は安心して見ていられる。子どもの頃、世界の端っこみたいな寒い国で夏や冬を何度か過ごした。睫毛まで凍るような冬は白夜のせいで眠れ…

モンブラン

美味しいケーキ屋さんを教えてもらったので、行ってみたい。 明け方、ユークがいきなり「じろちゃん!どっち!?」と大きなちょっとイライラした声で叫んだ。 「どっちって何?」 と聞くと 「う…ショートケーキと…モ、モンブラン」 とのこと。 「モンブラン…

緑は優しく

パディントンがもらった花を家にも少し分けてもらった。少しずつ枯れていくので、朝、元気なものをちょっとずつ分けて小さくまとめて家のあちこちに置いた。目に映る緑は優しくていい。 でもあまりに優しいので、つられて泣き出してしまってきりがない。火曜…

最初から最後までずっと

かご猫。 あまりに可愛いので、不審者のように柵から中を覗きこむ。 数年間、私の職場は飛行機だった。ある時、膝の上に包みを抱えた車椅子の高齢の女性がご搭乗されたことがあり、事前のインフォメーションがなかったため、後輩がすぐに「お手荷物、お預か…

円に引き寄せられている

猫、写真を撮ろうとしたら階段を猛スピードでかけ降りて来て、こっちが驚く。猫を飼ったことがないので、猫の生態というのがいまいちわからない。しっぽを丸くぴたんぴたんと動かしている時はどういう時だろう、とか。短くニャッと鳴くのはどういう意味かな…

頭は、ぼーっとしてしまう

夜中、アイスカフェオレとレーズンウィッチ。今、読んでいるのが小野不由美の「残穢」なので、このゆったりおやつにまったくそぐわないんだけれど、それでもいい。残穢作者: 小野不由美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/07メディア: 単行本購入: 5人 ク…

コロッケ

葬儀から一晩が経って、実家のパディントンの周りがすごいことになっていた。後から後からお花が届くのだそうだ。 近所の人たちからも、遠くに住む友人からも。私はただただ驚いている。 こんなに死を悼んでもらえるなんて、パディントンは一体なにをしてい…

収骨室の中で

朝、起きると本当に嬉しそうな顔をして、目に映るものぜんぶが彼の幸せであるかのように尻尾を振っていた。 「楽しいね」 と声をかけるとくねくねと身をよじって喜んでいた。パディントンの頭蓋骨は小さくてすべすべしていてとても綺麗だった。腫瘍のせいで…

生き抜いた

パディントンのいない朝が来た。夜中、床に敷いたマットの上で皆うとうとしてしまった。あの時もし偶然私が目を覚まさなければ、パディはそのまますうっと一人で旅立ってしまうところだった。あんなに苦しそうだった呼吸が、少しずつ遅く、静かになっていっ…

夜があまりにも長いので

昨日から実家に帰ってきている。床に枕を置いて犬の隣で寝起きする。とは言え、犬はかなり呼吸が荒くうまく眠ることがもう出来ないので、私も付き合って起きている。背中を撫で、耳を掻いてやり、時々水を飲ませる。こうしていると夜があまりにも長いので、…

どこまで

ユークが新しいスニーカーを買ってくれた。 気に入って何年も履いていたスニーカーの底についにぼこっと盛大な穴が開いたので。昔よく履いていた柔らかいAdmiralが欲しかったけれど、二軒探しても同じものが見つからず、もう廃盤なのかも、とがっかりしてい…

いつかの手紙

図書館で借りてきた「いしいしんじのごはん日記」の真ん中に、前の人の返却期限の紙がまだ挟まっていた。その人は干し野菜とか献立の本、星の本なども一緒に借りていて、いしいしんじを読みたくなる雰囲気がよくわかった。ぶれない感じ。一貫性があるという…

ぱくぱくゼリー

カタカナでも書かれていたなんて今までぜんぜん気がつかなかった。可愛いなぁ。ゴントランシェリエのクロワッサンはとても美味しい(写真はパンオショコラだけど)です。 今日、ちょっと久しぶりにじいちゃんに会いに行ってきた。「俺はトロいな」 と言いな…

子どもだけじゃない

バケモノの子を観た。 とてもいい映画だった。青空のスクランブル交差点版も良いけれど、一番最初のこの夜バージョンも好き。成長を見守るというのは、どうしてこんなにくすぐったいんだろう。嬉しいことや腹が立つこと悔しいことも楽しいことも何もかもを吸…

日の当たる壁

たまっていた洗濯物を一気に片付ける。 天気がいいってやっぱり気持ちがいい。プランターに植えたタイムに花が咲いた、と思ったけれどそれは夢で見た光景だったらしい。今朝起きて「あれ?」と思い、ベランダを見に行ったけれど黄色い花は咲いていなかった。…

ハピネス三茶

今年もすいかを見る季節がやって来た。 いつ見てもこのドラマはすごくいいけれど、やっぱり夏が一番だと思う。すいか DVD-BOX (4枚組)出版社/メーカー: バップ発売日: 2003/12/21メディア: DVD購入: 13人 クリック: 258回この商品を含むブログ (298件) を見…

少しずれてしまったもの

渋谷で30分だけ中途半端に時間が空いたので、人間関係に行く。ここはスコーンを100円で売っていて、注文すると温めなおして銀の器に入ったクリームも一緒に出してくれる。温かいスコーンに冷たいクリームがふんわり溶けていくのをついうっとり眺めてしまう。…

王国

雨が小さな冠をつくりだす、ほんの一瞬の美しい王国を見た。 ふわりと消える。 洗濯物はたまる一方だけど、こんなに綺麗なものがあるのなら梅雨の毎日も悪くない。

色褪せて

すっかり忘れていた「しあわせはどこにある」のことをサイモン・ペッグ好きの方のブログを読んで思い出せたので、行ってきた。 「幸せをさがして 愛をさがして きみにもどる旅」というコピーが日本版のポスターにばーんと出ているので、エンディングの想像は…

窓の外の降り始めた

リビングのテーブルで仕事をしていたら、ラジオから懐かしい曲が流れてきた。子どもの頃フリーウィリーという映画が好きで、当時アメリカにいた父にビデオを買ってもらい、本当にテープが擦り切れるんじゃないかというくらいしつこく何度も繰り返し見た。マ…

夢の中で32歳の

ぴょいーんと跳ぶところを見た。しなやかだ。しなやかでありたいと思うけれど、私はなにぶん頭が固い。ここ何年もこんな風に跳んだことないなぁ。 変な夢を見て明け方に目が覚めた。開けたままの窓から柔らかい雨の音と匂いと気配がいっしょくたになって流れ…

シャーロンのモンブラン

国産レモンを買いそびれてしまい、いつものハーブミックスで作った鶏ハム。砂糖ではなくハチミツを使ってみたけれど、ちょうど良かった。即席一口チーズパイも悪くはなかった(と思いたい)。 ユークがサラダとパスタを作ってくれた。 ユークのドライトマト…

ピンクの壁

昔ユークが住んでいたところの近所に鮮やかなピンクの壁のお店があった。夕方になるとお店の前にちょっと怖そうなおじさんが立ち、ほとんど人通りのない道をぶらりぶらりと眺めていた。時々、おじさんがユークに会釈をするので「ユーク、ここのお客さんなの…