まじろ帖

日々のこと。

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

誰も彼もの不在

なかなか暗くならないというのは、不思議だ。光の粒が、夕方の冷たくなり始めた空気に混じり、少しずつ本当に少しずつ、空を紺色に塗り替えていく。その光景を広場の端のテーブルに座って、ビールを飲みながら眺めていると、ふいに世界中に誰ももう私が知っ…

知らない物語

初めての村でもひょいひょい歩いて進んでいける。スニーカーの履き心地が良くて、リュックには水がきちんと入っていてすれ違う人に挨拶さえ出来ればたいていはOKだ。ここはどんな村? どんな人がいるのかな? おいしいワインはあるのかな?そんな気持ちで村…

時計を

バスは一時間に2本、たぶん来る。 忘れられていなければ。 山の真ん中にひっそりとたつ古い朽ちたような教会とそれを囲むようにしてつくられた村だ。バス停は高いところにあるので、村を見下ろすことが出来る。 「こういうところに住めるかな?」 と話す。…

可愛い顔

歩いている途中、いろんなものが目にはいる。 植物の色も違うし、建物は古くごつごつと冷たい石だ。パン屋さんはどこも覗いて匂いを嗅いでみたい。マルシェに並ぶ野菜の明るい赤、緑、黄色。一本裏の通りでこんな可愛い顔を見つけて大笑いしたりもできるけれ…

リゾット

マルセイユの港には、たくさんのレストランがひしめき合っている。どこのレストランも店の前に看板を出し、魅力的な料理やデザートやお酒を書き散らす。マルセイユといえば、ブイヤベース。 ところが、ブイヤベースがあまり好きではない私は、読みにくいフラ…

等しく距離を

駅から教会のある丘までどんなに短く見積もったって40分は歩いた。しかも最後はこれでもかというほどの坂道を登った。サンフランシスコかリスボンか長崎かというような、日のあたる静かで埃っぽく、延々と続く坂道を。強い風が吹く、海も街も一望できる圧倒…

マルセイユ

マルセイユまでのバスがあるというので、乗ってみることにした。 マルセイユと聞くと治安が悪いとか危険だとかすぐに言われるので、内心ドキドキしていたけれど、行ってみたらそこはとても面白そうな街だった。駅について、階段の上から街を眺め、あの遠くの…

天気

エクスアンプロヴァンスの天気は良い。 セザンヌが生涯愛し、描き続けたサンヴィクトワール山は今日も綺麗だ。

混ぜ合わせた

23時まで営業している食料品店があって、そこに行けば缶のパナシェを買うことが出来る。ビールを何かで割った飲み物というのがけっこう好きで、例えば韓国料理屋で、ビールとマッコリを頼んで勝手に割って飲んだりする。パナシェはビールとレモネードを合わ…

ピーマン

ピーマンハンバーガー。メニューを見てどんなハンバーガーだろうと思ったら、なかなかごついのがやって来た。

誰かから誰かに

ルールマランの村は、長閑だ。 金曜の朝、少し大きなマルシェが立つ。 野菜や果物や肉やチーズ、せっけん、オリーブ、古い食器や本、なんだかわからないような蓋とかずっと昔に誰かから誰かに宛てられた絵はがきとか。マルシェは見ていて本当に飽きない。 ボ…

絶望という名前

絶望という名前のビールは、南仏らしくないなぁと思う。こんなにからりと晴れてあちこちに清潔なラベンダーやらハーブやらの香りが満ちていて綺麗な街なのに、広場のカフェのビールはデスペラードだなんて、変だな。4日連続で夕方になると同じ店に通い、デ…

分かち合えない

天気の良い午後、古びてもう誰も訪れない静かな教会の裏に落ちている松ぼっくりがあまりに可愛いので、妖精を呼びだせるんじゃないかと思う円陣を作って、一人で遊ぶ。目を開けていられないほどまぶしくてからりと気持ちの良い南の日射しの下で、きりっと冷…

映画館

観たかったジャングルブックの実写版がちょうど上映されていたので、ホテルの近くの映画館へ。午前中は6.7ユーロで観ることが出来るので、安いなぁ。子供たちに混じって初フランス映画館を楽しんできた。フランス語吹き替えなので、会話は半分もわかったかど…