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まじろ帖

日々のこと。

朽ちて

村は小高い丘を囲むようにして作られていて、家々を眺めながら坂道をのぼっていくとほとんどの村の頂上には古い教会があるのだった。それらのほとんどはもう使われなくなっていて、朽ちていく建物の周りを草や花が覆い、のんびりとした猫がいる。今も昔も、あまり変わっていないんだろう。見おろすと、新しく建てられたのであろう、それでも軽く100年は経っているどっしりとした教会と赤茶色の屋根が続いている。いい風が吹いて、猫が目を細める。どこにいても忘れられないことがあり、私の中でそれらが朽ちるにはまだ早いのだろう。
「じろちゃん、おいで」
とユークが言う。
「次のバスが来るまでワインを飲もう」
と。坂をくだって行った先に小さなカフェがあった。
猫にさよならを言う。


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