東京百景

本屋さんでぱらぱらとページをめくり、
「僕が本当に恐れていたのは皆と同じように『リンダリンダ』が踊れないことだった」
という文章が目に止まった次の瞬間にはもうその本を掴んでレジへ向かっていた。

好きな本というのは、お腹の底からぞわぞわとくる。読み進めるのがもったいなくて、何度も戻っては同じ行を繰り返し読んでしまう。終わることが怖いから。

一冊の中のほんの一行でもいい。
信じられないほどまっすぐに胸に刺さる言葉をもらえることの贅沢さ。

私は、同じ本を繰り返し繰り返し何度も読む。だから私の本棚に並んでいるのは、すべて私の精鋭部隊だ。怖い時や迷う時、そらで言えるほど読み込んだそれらはいつだって私の最強の味方になってくれる。

「東京百景」は、優しい本だ。
これから少しずつ、何度でもこの本を読めるようになるのが本当に嬉しい。