まじろ帖

日々のこと。

瞬間だけ

たとえば恋をして、これがもう全部最後だと思ってもどんなにそうであって欲しいと願っても、その続きが必ずあるということが昔はひどく怖かったけれど、今はそれらは救いのように思える。叶わないから足りないと思うのは間違いだ。見たものすべてを私は深く信じる。ここでは瞬間だけが真実だ。それ以外はすべて失われた曖昧なただの甘いものみたいだ。


f:id:urimajiro_o:20170509232538j:image

飲んでも飲んでも酔わないような、見失わずにいられる灯りや暮れない夜の儚さや頼りなさや、うっかり日焼け止めを塗り忘れた足首がふつふつゆっくりと赤く焦げていく様やそういったものを伝えようとしても正しくは伝える術がないことを美しさで全て帳消しにしようとしている私が、信じるなんて口にするのは馬鹿げているのだろうけれど、グラスの中の冷えたワインがぬるくなるのをただ眺めているなんて、それは違うと思う。