じいちゃん
じいちゃんが、ぐっと年をとった。
体に悪いところはなく、ご飯もゆっくりとだけれど完食出来るし、会いに行くと「おぉ」と嬉しそうに笑ってくれたりするけれど、でもじいちゃんの生命の光(みたいなもの?)はこのところずいぶん静かになったと思う。悲しいとか寂しいとはまったく別の場所で動く何かがある日ふわりとじいちゃんを連れて行ってしまうんだろう。後悔や未練のない別れなんてこの世界にはひとつもないと思うしじいちゃんと離れるのはとても嫌だけど、でもじいちゃんが生きてきた時間に途中から加わることが出来た私が幸せ者だということだけはよくわかる。
「じいちゃん」
と呼んで手をつなぐと、窓の外を見ながら
「いい天気だな」
と頷く。
もうすぐじいちゃんの誕生日だ。