まじろ帖

日々のこと。

古めかしいアブサン

香川に来た。もう5年くらいの付き合いになる友達に会いに。妹には赤ちゃんが生まれた。お姉ちゃんとその旦那さんと鉄板焼きのおいしいお店に行き、ビールもワインもたくさん飲んで、ウニとトリュフのオムレツを食べたりからすみと水菜の焼きそばを食べたりして、よく笑う。笑えば、苦しいことはほんの一瞬まるで本当に存在などしなかったかのように消えるのだ。東京で散々苦しかった日々をかき消すような勢いを背負い、私たちは笑い、ウニの濃厚な味に感動して焼きそばに効いたたっぷりのガーリックを喜ぶ。f:id:urimajiro_o:20161114010638j:image

 

バーには、古めかしいアブサンがあった。

角砂糖を、ぽたりぽたりと落とす水に溶かす。

この薬臭い独特の匂いが好きだ。

いつの間にか落ちていた恋みたいなもので、

困ったことにそれは意思を持っていた。