止まらなくなって
松本で一度行ってみたかったまるも旅館についに泊まることが出来て嬉しかった。
創業は幕末の1868年。明治に入ってからの火災で当時の建物が消失してしまい土蔵造りに建て替えて営業を続け、現在に至るという旅館。
お風呂とトイレが共用なのが少しだけ慣れなかったけれど、どこもとても清潔で使いやすかった。外国人の宿泊客も二組ほど見かけた。ぎしぎしと鳴る廊下も少し色褪せた畳も窓から見えるゆったりとした景色も全部、彼らには私が感じるよりももっともっと新鮮で面白いものに思えるのだろう。
まるも旅館は朝ごはんが美味しいと聞いていてとても楽しみだったので、具合が悪くてふらふらしながらも二日間とも朝ごはんだけはしっかりと食べた。
ヒメマスがびっくりするほどおいしかった。以前、別の民宿で鮎の塩焼きを食べた時、私はあまりおいしいと思えず、それ以来なんとなく川魚は苦手なイメージだったので恐る恐る口に運んだヒメマスが衝撃のおいしさで「あれー!?」と言いながらばくばく食べた。
食べながら、日本むかし話のイワナを食べ始めたら止まらなくなって仲間の分まで食べきって龍になってしまった男の人の話をまた思い出した。こわかった。