窓の外の降り始めた
リビングのテーブルで仕事をしていたら、ラジオから懐かしい曲が流れてきた。
子どもの頃フリーウィリーという映画が好きで、当時アメリカにいた父にビデオを買ってもらい、本当にテープが擦り切れるんじゃないかというくらいしつこく何度も繰り返し見た。
マイケル・ジャクソンの歌の中ではこれが一番好きだった。
ある時期以降、なんの曲を聴いても特に思い出す光景というのがなくなった。不思議だけれど、それは私が音楽に頼らなくなったということなんだろうか。
アムステルダムのホテルで、仕事の支度をし、あとは空港へのバスの時間を待つだけというところまで全て終わらせると、やっと一息をついてスカートの皺を気にしながらベッドのはじに腰を下ろし、この歌を飽きもせず繰り返しよく聴いていた。
だから今もこの歌を聴くと、あの懐かしいホテルのベッドのはじと窓の外の降り始めた雪が頭に浮かぶ。
音楽から、何かどこかを思い出せるのは、このYou're beautifulが最後だ。