まじろ帖

日々のこと。

色水が流れていくところ

トゥールーズで見つけたすみれのお酒は、可愛い薄紫色をしていて一目で気に入った。

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子どものころ、絵の具を使って絵を描くのがあまり好きではなかった。ぐっと色をのせる勢いがないというか、迷ってしまって結局なんだかぐちゃぐちゃしてしまう。

でも、使い終わった筆を洗うのは好きだった。パレットに残った絵の具を筆で押すようにして水道の下で洗う。透明の水にカラフルな色が溶け込みいくつもの筋を作って排水溝に流れていくのを見るのは、本当に楽しかった。

色水が流れていくところを見ていたら、
「水を流しっぱなしにしてはいけません」
とグレーのベールをかぶったシスターに怒られたこともついでに思い出す。


そんなこんなの色水を彷彿とさせるすみれのお酒なのだ、これは。

だからそもそも飲むためではなく眺めるために買ったんだと自分に言い聞かせる。

ちっとも美味しいと思えないべったりと甘いお酒なので、もう飲まないことにした。

この薄紫の液体は、飲んでしまうなんてもったいない宝物みたいな光を内側に満たしているのだ。