まじろ帖

日々のこと。

嘆きと感謝と

行った先の街に教会があると、ふらっと立ち寄る。
教会はみんな静かで冷たくて黴臭い。空気は信じられないほど古く、なのに清々しい。
どの街のどんな教会にも人々の長い長い祈りの声が満ちていて、私たちの耳にはもう聞きとることのできない音となって高い天井いっぱいまでこだましている。

それらは嘆きと感謝と、それから愛か。


アルビの街にあるのは、ヨーロッパでもめずらしいレンガ造りのまるで要塞みたいなサントセシル大聖堂だ。

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↑外壁の補修工事中。

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中に入ってみて一目で今まで見たどんな教会よりもここが気にいった。

壁から天井まですべて埋め尽くすフレスコ画と精巧な彫刻の数々。

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言葉もなくただ見上げる人たちが、静かに、動けずにいつまでもそこにいた。

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ここはどんな美術館よりも贅沢だ。