愛の讃歌
学生時代からの友人の結婚式に行ってきた。
友人が両親への手紙を読む途中
「夜、寝るときにお父さんが読んでくれた長い長いペンギンの話がいちばん好きでした」
と言った時、ふいに結婚するってすごいことなんだなぁと思った。
そのあと、お父さんが愛の讃歌を歌った。
マイクを持つお父さんの手が、少し震えていた。
これから、家族が増えるんだ。
それまで全然知らなかった人が、家族の一員になる。
その人が声を震わせて愛の讃歌を歌うのだ。
素敵な式だったなぁと思いながら、もらったお花の包みを抱えて歩いてきた。
花の、少し冷たくていい匂いに胸が詰まる。
16年前の春もこんなふうな夜を私たちは一緒に過ごし、あの時はまさか、それぞれがそれぞれの結婚式に胸を詰まらせたりするなんて思い付きもしなかった。