まじろ帖

日々のこと。

日常

ぞわぞわ

ぞわぞわする橋。 7月はだいたい体調を崩す。突然の暑さに体がついていかれない。猫たちと家でごろごろする日々。

「楽しければ笑う」と私は言い放った。言ったそばから後悔したけれど、でももう言ってしまったし、どちらにしろそれは本当のことだから仕方なかった。 「その目付き」と、子供の頃からママもパパも言った。時々うんざりしたように。わからないのは、私に流れ…

歩く

今年も駐車場にミニチュア箱庭が出来ていた。 可愛い。 桜が咲いたので、いつもよりも少し多く歩く。

雨の日のタクシーが苦手だけれど、でも好きなもののうちのひとつだとも思う。窓につく細かな水滴を見るのが楽しいから。 つぷつぷつぷ、と音を立ててまるで炭酸の中にいるみたいだ。

季節には

「いいよ」って許したり許されたり、子供の頃はすごく簡単なことだったのに、歳を重ねるごとにそれがどんどん出来なくなっていって、頭が固くなってしまったのかな。体が重くなってしまったのかな。 いい空を見てぼんやりとする。 つまらなくなるね、ってそ…

近いような

暖かくて静かなところというのは、気持ちがいい。 それが本を読むために用意された場所だというのだからなおさら素敵だ。店内の誰も喋らず、でも誰かのための飲み物や食べ物の支度をする音が常に小さく聞こえていて、たっぷりと注がれたコーヒーからは良い香…

すごく大事なことをすっぽりと忘れてしまったような気がする。だから手当たり次第に本を読もうとするのかもしれないと思った。ヒントが何か残っていないか、手探りで近くを遠くをあてもなく、ただひたすらに覗くのだ。

タップ

小さな小さな足がタップを踏む。 カーテンの向こう側は猫たちのくすくす笑いが響く場所だ。

アヒル

「アヒルが泳いでいるよ」 というのはなかなか可愛らしい目印だった。 鮮やかな黄色のくちばしと水かき。

全部ということ

中古のカメラをひとつ買った。 ちゃんと写るのかはわからないけれど、可愛かったので。 外を歩きながらぱしゃりぱしゃりととりあえず何にでもシャッターを切る。ハーフサイズカメラなので27枚撮りのフィルムは倍の54枚撮れることになるらしい。よくわからな…

色濃く

スタバの桜シリーズが始まった。 これは私の春の準備。 桜ほうじ茶を買ってきて、あとは洗面所で朝、顔を洗うときに「冷たーい」と言わなくなれば春だ。 木蓮のつぼみを眺めながら歩く寒いこの時期はとても楽しい。 一年はあっという間に色濃く過ぎる。 何が…

すらり

眠っている山椒。 1月はとても穏やかに過ぎていった。 寒さに首をすくめ、家までの道を歩いていると、少しずつ春に近づいているのがわかる。木や草が、くつくつとその体をのばしていく。 私は冬が好きなので、このままでいいとも思うけれど、半袖からのびる…

冬の形

厄払いに行ってきた。 同い年の幼なじみ6人で川崎大師へ。 年末、どうして話せなかったんだろうと時々思い出す。 嘘をついたわけではないけれど、言えなかったことがあって、それが気になるまま年が明け、私は何事もなかったかのように、空気のぴんと張った…

じいちゃん

じいちゃんが、ぐっと年をとった。 体に悪いところはなく、ご飯もゆっくりとだけれど完食出来るし、会いに行くと「おぉ」と嬉しそうに笑ってくれたりするけれど、でもじいちゃんの生命の光(みたいなもの?)はこのところずいぶん静かになったと思う。悲しいと…

なんてつまらないことは

少し熱っぽいなと気がついたとたん、体がことんとスイッチを切ってしまう。 眠いの何も考えたくないの眠れないの頭が痛いの。 子どもみたいにぐずりそうだ。 職場でオープン記念にたくさん届いた花を分けてもらい、持ち帰る。 ユークがいくつかのコップやグ…

今日は昨日の

年が明けた。 子供の頃は、もっとすごくワクワクして0時まで起きていていいなんて信じられない!と思いながら待っていた気がする。 年が明けたら去年までのモヤモヤが急にぴーんと清算されたり、すごくいい自分になれていたりするんじゃないかって。 でもや…

たった

窓から夕方の光がたっぷりと射し込んで「眩しい」と言って笑った。 冬の風が吹く乾いていて眩しい外の世界を、暖かい場所から眺める。 たったそれだけのことだ。 たったそれだけのことだけれど、眺めるという時間も並ぶ距離も許されている。 それは、贅沢な…

そしてまたそっと光ったり

「クリスマスマーケット、去年は来なかったね」 とぽつりと言う。風が冷たくて、人の流れが早い。食べ物を売る屋台ばかりが立ち並び、お腹が空いている人には多分ちょうどいいのだろう。温かいワインもソーセージも。 「あれは一昨年?もっと前?」 12月25日…

簡単なこと

山と空と夕方の境目をただじっと見ていると、たとえば10年前の自分が何を考えながら生きていたか思い出せるような気がする。気がするだけだから、実際に具体的な胸に込み上げるような何かをしっかり手にするわけではないけれど、それでもこうして立ち止まれ…

スープ

冬の朝、食欲がないなぁと思う時、インスタントのスープがあるとやっぱり楽だ。丁寧にたくさん野菜を切って押し麦を入れてコトコト煮て自分で作るスープも美味しいしほっとするけれど、お湯を注ぐだけで温まれるというのは、すごく正しいことのように思う。

晴れた日は

カサカサと気持ちのいい道を歩く。 冬は、いろんなものがみんなぱりっと乾燥していて気持ちがいい。そのままもっとぱりぱりに砕いて細かい粉みたいにして全部飲み込むとか、もしくは風の強い場所からばーっと撒き散らすとかそういうふうにできたらいい。その…

あれ

いちょうの葉っぱを拾って歩く。 くるくると回してちらちらと黄色が回転するのを見ていると、ちょっと笑いたくなってくる。 貰い物の銀杏をジップロックの袋に入れたまま台所の引き出しにしまっているんだった。 「そうだ、あれを食べなくちゃ」 と思う。ユ…

冬の素敵

11月があっという間に終わってしまって、つまりクリスマスまであともう一ヶ月ないということになる。 早いねえ、とサンタのおじさんに話しかける。 温かい料理を作りたくなるし、作っていいのが冬の素敵なところだね、と。 自分一人のために料理をする気には…

ずっと

「じいちゃん、笑って」 と言うと、 「おう」 と答えてにっこりする。 じいちゃんのこの眉をきゅっと寄せた笑いかた、大好き。 「じいちゃん、元気」 と聞くと、 「そうだな」 と頷く。 じいちゃんに聞いてみたいことがたくさんある。 じいちゃんはいつだっ…

宇宙人くらい

エンゾの体はつるりとしていて冷たい。 くるりと器用に小さく丸くなって私のセーターに顔を押し付け「ぶーぶ、ぶーぶ」と音を出す。 犬はこんな声を出さない。 猫は、なんだか宇宙人くらい遠く感じる生き物だ。 でも、せめて彼らに対してだけは、私は清潔で…

一握りの

日々は我慢と寛容と憎しみと一握りの愛で成り立っている。 同じものを食べ、同じ場所で呼吸をし、眠り、繰り返しつかうお箸、コップ、歯ブラシ、石鹸、カミソリ、耳掻き、爪切り、ボールペン、ファイル、印鑑、セーターやシャツや靴下。見たい番組、聴きたい…

大事なこと

やけに言葉が胸に刺さる。 大事なものは大事にしなければいけないんだって、そんなのは当たり前のことなのに、耳たぶに新しくひとつ開いた穴が痛むので、まるでとてつもなく難しいことを宿題に出されたような気になってしまう。 その病院ではヘリックスは開…

夢が詰まったみたい

デパートのカフェでお茶を飲んでいたら、ガラスの向こうにもう何年も会っていなかった友達が立っていて、目があって「え?」と思ったら「じろちゃん」と声をかけてくれた。 こんな偶然てあるんだね。 今度またゆっくり会おう、と話して別れる。 引き戻される…

平日のお昼

火曜日に香川で別れた友達が昨日から今度は東京へ。 ポテトクリームを食べに行ってきた。 「平日のお昼にワインなんて幸せだね」 と言って背の高い友達が隣で笑う。

古めかしいアブサン

香川に来た。もう5年くらいの付き合いになる友達に会いに。妹には赤ちゃんが生まれた。お姉ちゃんとその旦那さんと鉄板焼きのおいしいお店に行き、ビールもワインもたくさん飲んで、ウニとトリュフのオムレツを食べたりからすみと水菜の焼きそばを食べたり…