まじろ帖

日々のこと。

眼が、

松本に行くときに、迷ったけれど久しぶりにフィルムのカメラを持って行った。

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今、なんとなく撮りたいと思っているものがあって、でもうまく一枚の中におさめられる自信も、そもそも撮る機会も約束もないので、他のものにシャッターを切るのは諦めきれないリハビリのような気持ちだった。

何年か前までは人も景色も動物も目につくものはなんでも撮ったし、人がレンズをぐっと見返す時の眼が、どんな人もみんな良かった。

古いカメラを構えた時の硬くて冷たい重みが好きだった。

今もやっぱり、好きだ。

100円 食べられません

おもちゃカボチャというのを安曇野の牧場で買ってきた。

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「100円 食べられません」
と書いてあって、普段なら食べられないものにあまり興味がないのだけれど、なんとなく。
「秋に向けて色が変わります」
というところにわくわくして。

毎日、じっと見ている。

澄ました笑顔

上野の美術館にポール・スミス展を観に行く。
「暑いし、上野まで一人で行くの大変だし無理かなぁ」
と思っていたら、同僚が誘ってくれて仕事のあとに二人で行ってきた。

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ポール・スミスの頭の中の鮮やかな色、アイディア、好奇心。遊び心がいっぱいでいつもちょっと澄ました笑顔をしている。

彼の集めた絵画や写真が壁いっぱいに展示されている様子は、眺めても眺めてもちっとも飽きない。

「羊の牧場だって。寄ってみようか」
とユークが道端の看板を見つけてくれた。
牛とか羊とか馬とかが、私は好きだ。
犬も猫もモルモットも狼もフクロウも。
まぁつまり生き物は大抵なんでも。

そういうわけで羊の牧場にはもちろん寄りたくなった。

でも出てきたのは、放し飼いの山羊。

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あれ?と思う間もなく山羊はまっすぐ近寄ってきて、静かに立ち上がり、蹄でどーんと私の膝にスタンプを押してくれた。

動物のお医者さん」に出てくるプルプルを思い出して感動したけれど、あれも山羊じゃなくて羊だ。

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可愛かった。
「山羊が飼いたい」
と言うと、ユークは日本語がわからないというような顔で遠くの山を見ていた。

骨だけ

まるも旅館の朝ごはんが好きだ。
魚って上手に食べられない、といつも思っているのがまるで嘘みたいに私の右手はお箸を使いこなして上と下の身をわけ、骨だけをするすると取り外せる。

「見て!」
と自慢してしまうくらいぺろりと食べる。

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ごはんだっておかわりできる。

牛乳

安曇野の牧場で牛乳を飲む。
ユークはこういうときソフトクリームを食べるけれど、私は牛乳がいい。

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こっくりしていておいしかった。
二日この牧場に通って二日ともこの牛乳を飲んだ。炎天下で牛乳なんて変だけど、おいしいからすいすい飲んでしまう。

仙人

森の中にカフェがある。
静かでメニューには何種類ものコーヒーがあり、本棚には古い本がびっしりと並んでいる。

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こういうのは、どんな生活なんだろう。
お湯をわかし、豆を挽き、ケーキを切り分けて、次にドアを開ける人のことをちらりと見て言葉少なに出迎える。

仙人みたいな感じかな。