まじろ帖

日々のこと。

去年の8月の

ちょうど一年前も同じように松本で過ごす休暇だった。
「去年、ここを通ったときは天気が悪かったんだよ。雨じゃないけど、曇ってた」
とユークが言う。
今日は、晴天。
よくそんなことを覚えている、と思ったけれど、私は一昨年の夏に松本の気に入っている居酒屋で注文したハンバーグに羊肉が使われていて、ほとんど全く食べられなかったことをまだ覚えていた。

覚えていたということなんて忘れていたのに、頭の中には二年もいつづけたハンバーグ。

来年の今頃、どうしているかなんてわからないと去年の8月の私は確かに思っていたのに、結局こんなふうにまたここへ戻ってくる。もどかしい。

今年の旅行用の本は3冊。
繰り返し読んですっかり体に馴染んだ本。
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快活な口調

名前を呼ぶと、すっと顔をあげるそのわずかな動きが本当に綺麗で静かで、猫というのは不思議な生き物だなぁと思う。

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暑い夏が始まって、結局体調も素晴らしく良いわけではなくただただ今が過ぎるのを待っているので、何冊も本を借りてDVDを選び、ベランダの植物に水をやって、カーテンを閉める。
「陽に当たらないからだよ」
と言われ、そういうものかとも思ったけれど、陽に当たった私は赤く腫れた肌に薬を塗ったり眠くなったりしながら結局は同じようなことばかりを考えているので、私にはカーテンが必要なんだと思う。

仕事に行けばそれなりに人と話し、笑ったり頷いたり謝ったりする。快活な口調は誰か別な人を真似しているみたいですごく気が楽だ。
「ありがとうございました」
と言える仕事で良かった。でもきっと偽物っぽいんじゃないかな。本当はそんな風に優しくきっちりと話したりできない。

サービス精神

近所の不機嫌そうな猫。
見た目はいつも不機嫌そうだけど、実はサービス精神旺盛なので怒った顔のままごろんと転がってお腹を触らせてくれる。

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「ごろんですか!?ごろんしましょうか!」
とばかりにニャーニャーと話す。

もう一度

どこかへ行かなくちゃ行かなくちゃ、という衝動があまりにくすぶってついに熱を出す。

去年も夏風邪をひいたんだった。

去年のこの頃に、パディントンと会えなくなった。今も寂しさはちっとも減らなくて、触れられない事実ばかりが日に日にきちんと増えていく。

どこへいけばもう一度会えるかな。

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ダイアナは相変わらず会うとべったりとくっついて離れない。

ちょっとだけ何も

今、お金が少しあって体調も悪くなくて、じゃあここにいなくてもいいかなぁと思う。

どうしても私だけを必要とする人や物や仕事は今はない。

もちろん何も言わずにある日突然私が出ていったらユークはものすごく怒るだろうし心配もするだろう。でも出かけて行った先から「ちゃんと帰る」と連絡をいれれば、許してもらえないかな。

…もらえないか。

ちょっと、遠くで、本当にちょっとだけ何も考えずにぼーっとしたい。

誰にもなにも言わずにどうしても一人になりたい時ってどうしてたんだっけ。

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でも意外と2日くらいでもうかーえろって思うかもしれない。